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05 題目:チャンボー?

1987年7月15日。
博多で言うところの追い山の日に、ローランギャロは連盟戦デビューを飾った。

1回戦は相手も初心者が多く、ビギナーズラックも功を奏し、
伊藤・鳥羽ペアに至っては1-4ダウンから5ゲーム連取するなど、
他のチームメンバーもすさまじい快進撃を遂げた。

背の高い伊藤くんからくり出される非常に打点の低いサーブが、
相手の不意をついたのかもしれない。
何が良い結果に結びつくか分からなかった。

しかし、2回戦からは様子が違った。我々は甘かった。
テニス慣れした相手が次々と出てきたのだ。試合のはじめ、
コートの中央に向かうと相手がおもむろにラケットを回した。
あまりの手際の良さにそれがトスであることに気付かず、
「何かいな?」と思って、2、3秒間、相手の目を見つめてしまった。

我々が何も言わなかったので、相手がもう一度ラケットを回した。
「スムース」と言ってやった。
そう、「スムース」しか知らなかったのだ。
裏が「ラフ」なんてことは、その試合の後に知った。
また一つ賢くなった気がした。

試合開始後、困った。相手の言うことが分からない。

「ジャスト」???
何やそれ?、である。
ジャスト何?。ジャストインなのかジャストアウトなのかどっちや?
相手は慣れたように
「ジャストです」
と言って、格好良く指一本立てている。
相手がまた構えたってことは、ジャストアウトってことなんだ。

また一つ賢くなった気がした。


村山・畑島ペアの試合が始まった。
1回戦を勝ち抜いて迎えた相手は熊大のノーバック・ハンド。
相手のサーブが来た。スピンサーブだった。
当時、我々の中にはちゃんとスピンをかけたサーブなんて打てる奴はいなかった。
この世の中にあんなに曲がるサーブがあるなんて知らなかったのだ。

「危ない!」と思った瞬間、
曲がってくることを予測していなかった村山くんは思わず左手でボールを取ってしまった。
大爆笑したペアの畑島くんであったが、これまた曲がってきたサーブを避けきれずアゴに直撃。

思わずバランスを崩して
ふらついてしまった。

 「チャンボー」???

相手がまた分からないことを言った。
何やそれ?
チャンピオンボールだと思った。
「チャンスボールって分かったのは、そのボールで決められた後だった」
と畑島くんは言う。


柴田・今村ペアは壮絶な争いを続け、ゲームカウント6-6。
我々に最大の試練がやってきた。

「タイブレーク」。。。。。。。。。。。。。。。

誰もそんなものは知らなかった。
頼りのテニス経験者である今村くんも、はっきり覚えていないと言う。
皆、またピンチに陥った。
そこで偉かった今村くん、自信をもってらラ・フォーリ相手に指示を出した。
このタイブレークが前代未聞の逆回りだったことは試合の後になって分かった。
しかし、自分の考えをもって、自信をもって実行することが物事を進める上で如何に良いことか、
皆にとっては非常に良い教訓になった。


こうして華々しいデビューの日は終わった。

その後、皆が

 「ジャストです!」

と指を立てるのが癖になったということは言うまでも無いであろう。

  by rg20aniv | 2006-10-01 05:00 | ローラン創世記

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